問題内容:変圧器…無負荷・短絡試験
 難易度:★★★☆☆(2種標準レベル)
目標時間:★★★☆☆(25分以内)

【問題】
定格容量 {small{50{
m ~kV・A}}}、定格一次電圧 {small{11000{
m ~V}}}、定格二次電圧 {small{3300{
m ~V}}}、定格周波数 {small{50{
m ~Hz}}}の単相変圧器があり、高圧側からの試験結果は次のとおりであった。

・無負荷試験
 無負荷損:{small{P_{0}=290{
m ~W}}}
 無負荷電流:{small{I_{0}=0.221{
m ~A}}}

・短絡試験
 インピーダンス電圧:{small{V_{1S}=550{
m ~V}}}
 一次電流:{small{I_{1S}=4.55{
m ~A}}}
 インピーダンスワット:{small{P_{S}=740{
m ~W}}}

次の問に答えよ。
ただし、定格負荷時の力率 {small{{
m cos}phi}} における電圧の変動率 {small{varepsilon{
m ~[\%]}}}は、百分率抵抗降下を {small{p{
m ~[\%]}}}、百分率リアクタンス降下を {small{q{
m ~[\%]}}}とすれば、次式で表せるものとする。
 {varepsilon=p~{
m cos}phi+q~{
m sin}phi+ dfrac{1}{200}(q~{
m cos}phi-p~{
m sin}phi)^2{
m ~[\%]}}

(1)図に示す簡易等価回路の回路定数(一次側換算値)をそれぞれ求めよ。
(2)遅れ力率80%、全負荷における電圧の変動率を求めよ。
(3)遅れ力率80%、1/2負荷における効率を求めよ。
(4)遅れ力率80%、1/2負荷における電圧の変動率を求めよ。f:id:hitorisuto:20161128180428p:plain
 一次換算全巻線抵抗:{small{R}}
 一次換算全漏れリアクタンス:{small{X}}
 励磁コンダクタンス:{small{g_{0}}}
 励磁サセプタンス:{small{b_{0}}}


※以下は個人の回答例です。

【ポイント】
この問題は3種でもおなじみの無負荷試験と短絡試験の問題です。
各試験から計測できる値より、変圧器の定数求めることができれば多少計算量が多いですが、(4)以外は3種レベルの問題です。
ケアレスミスに気を付けて、解きましょう。

【回答】
(1)f:id:hitorisuto:20161128181919p:plain
一次換算の全巻線抵抗 {small{R}} と全漏れリアクタンス {small{X}} とインピーダンス {small{Z}} は、短絡試験で計測したインピーダンス電圧 {small{V_{1S}}} と一次電流 {small{I_{1S}}} とインピーダンスワット {small{P_{S}}} を用いて、
 { egin{eqnarray} R&=&dfrac{P_{S}}{I_{1S}^{~~~2}}=dfrac{740}{4.55^2} &fallingdotseq & 35.744fallingdotseq 35.7{
m ~[ Omega ]}…(答) end{eqnarray}}

 {Z=dfrac{V_{1S}}{I_{1S}}=dfrac{550}{4.55}fallingdotseq 120.88{
m ~[ Omega ]}}

 {egin{eqnarray} X&=& sqrt{mathstrut Z^2-R^2}  &=& sqrt{mathstrut 120.88^2-35.744^2}  &fallingdotseq& 115.47 fallingdotseq 115{
m ~[ Omega ]} …(答) end{eqnarray}}

※短絡試験からは、巻線のインピーダンスに関する値({small{R、X、Z、p、q、\%Z}})を求めることができます。

励磁コンダクタンス {small{g_{0}}} と励磁サセプタンス {small{b_{0}}} と励磁アドミタンス {small{y_{0}}} は、定格一次電圧を {small{V_{1n}}} とすると、無負荷試験にて計測した無負荷損 {small{P_{0}}} と無負荷電流 {small{I_{0}}} を用いて、
 { egin {eqnarray} g_{0} &=& dfrac{P_{0}}{V_{1n}^{~~2}} = dfrac{290}{11000^{2}}  &fallingdotseq& 2.3967×10^{-6}  &fallingdotseq& 2.40×10^{-6} {
m ~[S]}…(答) end{eqnarray}}

 { egin {eqnarray} y_{0} &=&  dfrac{I_{0}}{V_{1n}} = dfrac{0.221}{11000}   &fallingdotseq& 20.091×10^{-6} {
m ~[S]} end{eqnarray}}

 { egin {eqnarray} b_{0} &=&  sqrt {mathstrut y_{0}^{~~2}-g_{0}^{~~2}}  &=& sqrt {mathstrut 20.091^{2}-2.3967^{2}}×10^{-6}  &fallingdotseq& 19.947×10^{-6}  &fallingdotseq& 19.9×10^{-6}  {
m ~[S]} …(答) end{eqnarray}}

※無負荷試験からは、励磁回路の各値({small{g_{0}、b_{0}、y_{0}、無負荷時力率}})を求めることができます。

(2)
問題文にある電圧変動率の式において、未知数である {small{p}}{small{q}} を求める。
百分率抵抗降下 {small{p}} と百分率リアクタンス降下 {small{q}} は、百分率インピーダンス降下(%インピーダンス)を {small{\%Z}}、変圧器の定格容量を {small{S}} とすると、短絡試験結果より、
 { egin {eqnarray} p &=& dfrac{P_{s}}{S} ×100= dfrac{740}{50×10^{~3}} ×100   &=& 1.48 {
m ~[\%]} end{eqnarray}}

 { egin {eqnarray} \%Z &=& dfrac{V_{1s}}{V_{1n}} ×100= dfrac{550}{11000} ×100   &=& 5.00 {
m ~[\%]} end{eqnarray}}

 { egin {eqnarray} q &=&  sqrt {mathstrut (\%Z)^{2} -p^{~2} }  &=&  sqrt {mathstrut 5.00^{~2} -1.40^{~2} }  &fallingdotseq& 4.7759 {
m ~[\%]} end{eqnarray}}

※ここは(1)の続きみたいなものです。ここからはこれまでに求めた各値を用いて、電圧変動率と効率を求めていく計算問題となります。

遅れ力率80%({small{ {
m ~cos} phi=0.8、{
m ~sin} phi=0.6 }})で全負荷のときの電圧変動率 {small{ varepsilon _{1}}} は、問題文より与えられた電圧変動率の式に諸量を代入し、
 { egin {eqnarray} varepsilon _{1} &=& p~{
m cos}phi+q~{
m sin}phi+ dfrac{1}{200}(q~{
m cos}phi-p~{
m sin}phi)^2   &=& 1.48×0.8+4.7759×0.6+ dfrac{1}{200} (4.7759×0.8-1.48×0.6)^2  &fallingdotseq& 4.0926 fallingdotseq 4.09{
m ~[\%]} …(答) end{eqnarray}}

※問題では問われていませんが、当然 電圧変動率の定義や定義式などの基本はしっかり理解しておいて下さい。
※問題文に電圧変動率の式が書かれていなくても解けるようにしましょう。また、2種では近似式 {small{varepsilon=p~{
m cos}phi+q~{
m sin}phi{
m ~[\%]}}}は使ってはいけません。(但し書きで近似式の使用が認められている場合やJECに定められている {small{\%Z leq 4.00 ~[\%]}}の場合を除く。)
※電圧変動率の別の解き方ですが、複素ベクトル式 {small{dot{V_{1n}} =dot{V_{2}} +dot{I_{1S}} (R+jX){
m ~[V]}}}や電力円線図の式 {small{{P+( frac{V_{2}}{Z})^2 R}^2 + {Q+( frac{V_{2}}{Z})^2 X}^2 =( frac{V_{1n}V_{2}}{Z})^2}}から端子電圧{small{V_{2}}}を求め、電圧変動率を求めるという方法もあります。(但し、この問題では問題文に式が与えられているので素直に式を使うのが良いです。)

(3)
遅れ力率80%({small{ {
m ~cos} phi=0.8 }})で負荷率 {small {alpha =0.5 }} のときの効率 {small {eta }} は、次式より求めることができる。
 {egin {eqnarray} eta &=& dfrac{alpha S {
m ~cos} phi}{alpha S {
m ~cos} phi + P_{0} + alpha ^2 P_{S}}×100   &=& dfrac{0.5×50×10^3×0.8}{0.5×50×10^3×0.8 + 290 + 0.5^2×740}×100   &fallingdotseq& 97.680 fallingdotseq 97.7  {
m ~[\%]}…(答)end{eqnarray}}

※ここまでの内容は3種です。しっかり得点を取っておきましょう。

(4)
遅れ力率80%({small{ {
m ~cos} phi=0.8、{
m ~sin} phi=0.6 }})で負荷率 {small {alpha =0.5 }} のときの電圧変動率 {small{ varepsilon _{2}}} は、問題文より与えられた電圧変動率の式を参考にし、
 { egin {eqnarray} varepsilon _{2} &=& alpha (p~{
m cos}phi + q~{
m sin}phi ) + dfrac{1}{200}{ alpha (q~{
m cos}phi - p~{
m sin}phi) }^2   &=& 0.5(1.48×0.8 + 4.7759×0.6 ) + dfrac{1}{200} { 0.5 (4.7759×0.8 - 1.48×0.6 ) }^2  &fallingdotseq& 2.0355 fallingdotseq 2.04{
m ~[\%]} …(答) end{eqnarray}}

※部分負荷時の電圧変動率ですが、すいません(4)は自信はないです…。念の為、電力円線図の式でも値を出して見た所 {small{ varepsilon_{2}fallingdotseq 2.07 }}となったので、恐らく誤差の範囲内だと思いますが、自信はないです。


【重要】
1.短絡試験
・試験内容
低圧側を短絡させ、高圧側に定格電流が流れるような電圧を印加
・計測値
インピーダンス電圧 {small{V_{1S}}} とインピーダンスワット {small{P_{S}}}
・求められる定数
巻線のインピーダンスに関する値({small{R、X、Z、p、q、\%Z}}

2.無負荷試験
・試験内容
(通常は)高圧側を開放(無負荷)にし、低圧側に定格電圧を印加
・計測値
無負荷電流 {small{I_{0}}} と無負荷損 {small{P_{0}}}
・求められる定数
励磁回路の値({small{g_{0}、b_{0}、y_{0}、無負荷時力率}}

二つの試験を行うことで変圧器の定数を求めることができ、更にそれらを用いることで電圧変動率効率を求めることができます。
この一連の流れは非常に重要であり、頻出度も高いので、何も見なくてもにスラスラ書けるようにしましょう!

【類題】
・平成15年
最大効率を求めさせ、電圧変動率は定格時のみで部分負荷時はありません。そのため、難易度は下がります。
今年解けなかった方はまずは平成15年に挑戦してみて下さい。

【ひとコト】
部分負荷時の電圧変動率の問題は初めてみました。試験会場で焦りました。


・平成28年度 電験1種と電験2種の二次試験 問題
電気技術者試験センターの公式サイトです。ここから問題が見れます。

・電験2種二次 平成28年 受験感想

・電験2種二次 平成28年 機械・制御 問1